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「心のバリアフリー」講演会を開催しました

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  去る11月20日(木)に、本校体育館にて、全盲のテノール歌手である A.T様をお招きし、「心のバリアフリー」と題した講演会を開催いたしました。この講演会は、生徒たちが多様な人々との共生社会について深く考える、非常に貴重な機会となりました。  A様は、ご自身の視覚障害者としての生活から、私たちが普段意識しない「社会のバリア」について、大変具体的に語ってくださいました。  特に、視覚がないことによる「歩行」、「文字情報の入手と出力」、そして「社会性」という三つの大きなハンディキャップについて説明され、生徒たちは、全盲の方々が日常生活で直面する困難の大きさを知ることができました。  また、A様は困難を乗り越えるための知恵も教えてくださいました。愛犬である盲導犬ファラッドとの息の合った共同作業や、情報技術(IT)を駆使して社会とつながる工夫について、明るく前向きに紹介してくださり、生徒たちも熱心に聞き入っていました。  ガイドヘルパーのK様からは、視覚障害と一口に言っても、人によって見え方が大きく異なる「弱視」という状態の理解を促すための体験活動が行われました。  弱視の方の見え方を疑似体験することで、生徒たちは「困っているように見えなくても、実は助けが必要な場合がある」という、より細やかな気づきを得ることができました。K様によるガイドヘルパーとしての多様なサポートについての解説は、生徒たちに「支援とは、その人に合わせて形を変えるものだ」という大切な視点を与えてくれました。  講演の最後には、生徒たちとの質疑応答が行われました。「どのように声をかけたらいいですか?」「どんな手伝いが嬉しいですか?」といった具体的な質問に対し、A様は一つひとつ丁寧に答えてくださいました。  A様が最も訴えられたのは、視覚障害者であることを特別視するのではなく、「一人の人間として接してほしい」という切実な願いでした。  「心のバリアフリー」とは、特別な知識や技術以上に、相手を個人として尊重し、想像力を働かせることだと、生徒たちの心に深く響いたことと思います。この講演会を通じて、生徒たちが、目に見えるバリアだけでなく、心の中にある無意識のバリアを取り払い、誰もが暮らしやすい社会の担い手になってくれることを期待しています。